【戸山高校卒業30周年ホームカミングの記録②

電話をかけたら、思いがけない流れができた】
約372人に、どうやってホームカミングを知らせるか。
城北会から提供された名簿は、卒業当時の住所や電話番号が中心。連絡先が古くなっていたり、今どこにいるのかわからなかったりする人も多い。前年のホームカミング参加者146人を超えたいという目標はありましたが、僕が大事にしたかったのは、来る人を増やすことだけではありません。参加できるかどうかにかかわらず、できる限り全員に開催を知らせることでした。
最初は、僕を含めて3人くらいで電話をかけ始めました。電話に出たらどう話すか、留守番電話にはどんなメッセージを残すか。誰にかけたか、どんな反応だったか。最初は手探りだったので、やり方や対応を共有しながら、一人ずつ連絡していきました。
あるクラスメートの実家に電話をすると、ご家族が出て、その後、本人から折り返しがありました。30年ぶりに話せたことがきっかけになり、本人が何人もの同級生に連絡してくれた。さらに、別のクラスメートが営む洋服店まで訪ねてくれました。名簿の電話番号にかけただけなのに、その人から次の人へと話がつながり、実際に足を運ぶところまで動きが広がったんです。
別の実家に電話したときには、高校時代は東京にいたクラスメートの実家が関西だと知りました。家族の事情で高校時代に東京で暮らしていたことも、当時の僕は知らなかった。30年ぶりに連絡を取ると、懐かしい話だけじゃなく、高校時代には知らなかった同級生の暮らしや背景も見えてくる。電話をかける面白さの一つでした。
一方で、電話が全部うまくいったわけではありません。数件かけたところで、ご家族に強く怒られて、担当者が落ち込んだこともありました。30年ぶりに突然かかってきた電話をどう受け止めるかは、人それぞれです。だから無理に参加を迫るのではなく、まず開催を知らせることを大切にしたいと思っていました。
電話以外の方法も試しました。同級生の実名をネットで検索し、Facebookや勤務先などから連絡先を探す。本人かどうかをクラスの仲間と確認してから、僕が勤務先に問い合わせを送ったこともあります。すると本人から返事があり、当日の参加につながりました。
こういう成功例が出ると、電話をかけた人たちの間でも話が盛り上がる。「ここから連絡がついた」「こんな返事が来た」「そこから別の人にもつながった」。集客の報告そのものが、少しずつ面白くなっていきました。
最初の3人から、各クラスで電話を担当してくれる人を募り、専用のLINEグループでも情報交換をするようになりました。電話やネット検索、葉書など、クラスごとにできる方法で連絡を進める。特定のクラスだけで盛り上がって見えないように、オープンチャットの発信量や雰囲気にも気を配りました。
一本の電話から、同級生がまた別の同級生へ連絡する。昔の名簿から新しい連絡先が見つかる。誰かの成功例を聞いた別の人が、自分も電話してみる。そんな動きが重なって、ただの名簿確認だったものに、少しずつ流れができていきました。
僕は、動いた量が増えれば、出会いや経験や情報も増えると思っています。電話をかける人が増えるにつれて、連絡できる相手も増え、学年全体へ知らせる動きになっていきました。


