「発達障害」って何だろう?③:新宿区講演会
「発達障害」って何だろう?というテーマの続きです。
9.応答的環境の大切さ
・ワトソンの研究
>生まれて数か月から1才ちょっとの子を対象にしたもの
>枕に細工をして、子どもが動くとおもちゃが動くグループ(A)と、
動いてもおもちゃは動かないグループ(B)と、
何もしなくてもおもちゃが動き続けるグループ(C)
に分けた場合、もっとも自発性が育ったのは、
Aだが、BとCはどちらもダメだった
つまり、自己効力感のないことはどちらもよくない
・刺激はその子なりに異なるものであってもなくてもダメ
>おとなしい子だからといってテレビや音楽などいろいろやりすぎてもダメ
>おとなしいから早く集団に慣れるようにするのもダメ
>応答性はその子なりのものがある
10.応答性に富み、ほどよい量が必要
・質と量の双方が大事
・子どもとお母さんが噛みあっているといい
>たくさんかかわってほしい、そっとしておいてほしい、など
・最も子どもに合わせられるのは人でありモノではない
>ただし、お母さんの個性(得手・不得手)も大切に、無理をしない、現実的にできること・噛み合わせられることをする
11.自閉症スペクトラムについて
・これまでは、心の病気、性格の問題、育て方、突然発症する、といわれてきたがすべて誤解
・脳(中枢神経系)のなんらかの機能障害
・自閉症というはっきりした症状名から、自閉症スペクトラムという幅のある呼び名に変わってきている
・絵をみて場面や表情はわかるが、応じられない
・脈絡はあるがポイントがずれている
・表情を選べない
>困ると笑う、戸惑うと怒る、真顔になる
12.「特性」理解に基づいた配慮
・視線や表情、身振りや姿勢から人の気持ちを読み取れない
>視覚的にみえるもの、物的な情報を手がかりにする
>前後関係や流れ、見通しを持って理解しにくい
>やめさせるときは具体的に。いやなことはやめて、では無理
・コミュニケイションがとりにくい、言葉の意図が分からず、字義どおりに理解する
「お顔描いて」というと、「お・か・お」と文字を書いてしまう(絵を描くことだとわからない)
・特有の関心、こだわり、くせがある
・わかりやすく、具体的に手がかりを示す
>粘土だけだと触らないが、目をつけてあげると触れる
>ボールを蹴らないが、足をふれさせてからだとやりだす
・安心感を求めるための方法だと理解して尊重する
>ハンモックには乗れないが、地面につけながら網の上に乗ることはできる
・無駄に戦わず危険なこと以外は急がずつきあう
・適切な構造化(枠組み)を用意する、自由は難しい
>広いところほど走り回って終わりになる
13.家族全体のバランスも大切に
・子どもの個性とお母さんの個性の調和
・父やきょうだい、親と同居か別居か
・幼稚園保育園など集団の場、隣近所や家のつくりなど地域という場
・専門家の力を借りながら無理のない方法を選ぶ
>席が決まっているとよい時もあれば、自由だとよい時もあり判断は難しい