大学入試改革 中国の宿題:「点数秀才」求めない
日経12月4日朝刊
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO80459340T01C14A2TCQ000/
中国の若者は
小学校から勉強漬けの毎日を送るものの、
紋切り型の「点数秀才」が生まれるだけで、
イノベーションは苦手とされる。
隣国・日本が
ノーベル賞を数多く受賞していることも
刺激となっている。
・中国教育省は、
17年に
新しい入試を全国で導入する
と宣言
・基礎科目の英語は、
高校時代に
2度受験できるようにする。
・文系、理系を問わず、
思想政治、歴史、地理、物理、化学、生物の
6教科から3教科を
選べるようにする。
それぞれ2度受験可能で、
最も高い点数を受験に適用する。
・6月の大学受験当時は
中国全土が異様な空気に包まれる。
:街を走る車は
受験生が集中できるように、
この日はクラクションを鳴らさない。
:バスも電車も
受験生は無料
:学生証と受験票を忘れていないか
何度も確認し、
親と受験会場へ
:昼休みのお弁当は、
外食して食中毒にかからないよう
必ず持参
:試験中、
会場の外は不安そうな顔で待つ親で
あふれかえる
:終了後は、
試験の出来を聞かないのが
不文律、
明るい話題で
元気づけようとする
・14年の大学卒業生数は、
727万人で、
10年前の2.5倍
学歴格差が歴然としており、
大連理工大で開かれた就職フェアでは、
体育館の外には2つの列があった。
1つは大連理工大に通うエリート学生用で
午前8時半に開門。
もう1つはその他の大学の学生用で、
4時間後の昼過ぎに開門。
両列とも、
早朝から数千人が並んだが、
企業が本腰を入れて話を聞いたのは
午前の部だけだった。
ただし、
受験戦争で一流大学に入ったからといって
社会で大成するとは限らない。
31の省・直轄市・自治区単位で実施されている
統一入試「高考(カオ)」で、
それぞれの地区の成績トップが
「状元」と呼ばれる。
もとは
隋から清まで続いた官僚登用試験
「科挙」の最終試験1位に与えられた称号で、
今も昔も「状元」はスター扱いされる。
ところが
ある大学評価サイトによると、
「状元」は社会が期待したほどの成功は納めておらず、
研究者や公務員になる人は多いものの、
中国をリードする企業のトップになっている例は
ほとんどない。
入学するのは
ブランド力のある大学、
専攻するのは
最も人気のある経済学か経営学。
「状元」を突き動かすのは
常に他者との競争で、
必ずしも自分がやりたいことを
追及しているわけではない。
在学中に専攻を変更する人も多い
という。
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日本と同様中国も、
受験秀才や知識偏重の受験制度が
歪を生んでいるようです。
日本から海外、
特にアメリカなどをみていると、
日本の教育制度では
ノーベル賞受賞者が少ない、
と思えますが、
お隣の中国では、
日本をみながら
同じようなことを考えているのですね。
受験当日の街も異常ですが、
大卒が727万人もいることも
衝撃です。
日本はセンター試験の受験者自体が
ようやく55万人前後ですから、
約13倍ですね。
確かにそもそも
人口が13倍くらいいますものね。
日本も
筆記試験一発勝負から、
面接や書類を含めた
面談型の総合力評価をする入試に
変えようとしていますが、
必ず公平性などの問題がでます。
点数でなく、
主観的な判断で合否が決まる、
強いては人生が決まる、
的な。
先日、
あるセミナーであるパネリストが話されてましたが、
「必ずそういう話になるが、
じゃあ、筆記試験の点数だけで
新入社員を決めている会社があったらだしてください、
というようにしてる」そうです。
それ以外の要素の方が
よほど選考基準になっているはずだ、
ということですね。
中国のスーパーエリート大学と同じように、
東大の卒業生も
研究者や公務員のイメージがありますが、
最近では
いきなりベンチャー企業やNPOに入社したり、
起業したりする例が増えている記事を
よくみかけます。
少し前ですが、
アメリカの大学生が
最も就職したい会社・団体が、
アップルやグーグルや
ウォール街の金融系ではなく、
NPO法人だったことがありました。
ある程度成熟をして、
物欲・金欲的な面が満たされている社会では、
やはり「やりがい」とか「社会性」とか
「お役立ちの心」という、
気持ち・精神面が優先されているのかな
と思います。
東大の例のように、
中国のトップ大学卒業生も、
経済・経営という物理的なものから、
精神的な充足を求めた大学選び、会社選び、
人生選びが始まるかどうか、
注目したいです。